





武庫川女子大学サイエンス・コモンズでは、2024年の開設以来、アイデアや夢を語り合い、新たな研究の種を育む場として、様々な分野の第一線で活躍する研究者が話題提供を行うセミナーを継続して開催しています。
2026年2月24日(火)、中央キャンパス 研究所棟1階「サイエンス・コモンズ」にて、第8回セミナーを開催しました。今回は、本学文学部 歴史文化学科の河野未央准教授を講師に迎え、「地域アーカイブズの保存・利活用とその課題 ~古文書をまちづくりに活用したい~」というテーマで、対面とオンラインのハイブリッド形式で実施。学内外の教職員計12名が参加し、少人数ながらも密度の高い時間となりました。
セミナー前半では、まず「アーカイブズ」や「アーキビスト」という概念について丁寧な解説がありました。「アーカイブズ」とは、組織や個人の活動を記録したものであり、古文書から現代のデジタルデータまで、永続的に保存されるべき記録のまとまりを指します。そして、それらを専門的に扱うのが「アーキビスト」です。過去から現在にかけて生み出された記録を評価・選別し、未来へと受け継ぐために保存・整理・公開を担う、重要な役割であることが語られました。
日本は江戸時代から非常に高度な「文書主義」の社会であり、かつて約6万3000あった村々では、年貢免状などの行政文書が各地域で保管されてきました。しかし現在、数百年にわたり守られてきたこれら「地域アーカイブズ」が、大規模な自然災害や少子高齢化、地域コミュニティの衰退によって急速に失われつつあります。地域アーカイブズは、守る人と環境がなければ残すことはできません。これらをいかに地域社会の中で継承していくかが、河野先生の重要な研究テーマであると述べられました。
河野先生は、課題解決に向け、当初は歴史学の延長として専門家による目録作成や展示を中心に行っていたそうですが、住民がどうしても「お客さん」の立場に留まってしまうという壁に直面したといいます。これを受け、アーカイブズを地域コミュニティ形成やまちづくりの文脈に落とし込む方向へ発想を転換。現在は、単なる保存に留まらず、住民自らが主体となる「利活用を基軸とした継承」のあり方を模索されているとのことでした。
講義後の質疑応答やディスカッションでは、少人数ならではの深い対話が繰り広げられました。参加者からは、アーカイブズ活動を継続することの難しさを感じる体験談や、誰もが親しみやすい「食」を切り口にした活動のアイデアなどの提案がありました。
また、参加されていた様々な分野の研究者と河野先生の間で、アーカイブズ研究を絡めた新たな共同研究の可能性がその場で芽生える一幕もありました。まさに、「サイエンス・コモンズ セミナー」開催冥利に尽きる瞬間でした。
今回の第8回をもちまして、今年度のサイエンス・コモンズ セミナーは全日程を終了いたしました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
来年度も引き続き、開催を予定しております。どうぞご期待ください。