2025年11月21日(金)12:15~13:30、薬学部のある浜甲子園キャンパスにて「第4回MUKOJO研究ポットラック」を開催し、本学教職員および大学院生が対面とオンラインを合わせて10名が参加しました。
今回は、薬学部の吉川紀子准教授と中瀨朋夏教授を迎え、「がんを知る・がんを治す〜がん転移のメカニズム解明と治療への挑戦〜」というテーマで、がん治療の最前線について話題提供をいただきました。コーディネーターは建築学科の宇野朋子准教授が務めました。
吉川先生からは、はじめに、日本人の死因第1位である「がん」の基礎知識について解説をいただきました。がんは自己細胞の遺伝情報の複製過程におけるエラーから発生するため、ウイルスなどの異物と異なり攻撃が難しいこと、また多様な性質を持つ細胞の集まりであるため、一つの薬で完治させることが困難である現状をお話しいただきました。とくに、がんが原発巣から離れて別の臓器へ移動する「転移」こそが、生存率を左右する最大の壁であると指摘されました。
そして、吉川先生の最新研究である「血小板とがん細胞の相互作用」について紹介いただきました。血小板ががん細胞と共存することで増殖スピードが上がることや、血小板が「鎧」のようにがん細胞を包み込むことで、免疫の攻撃から守ってしまうという驚きの現象について、RNAシークエンスの実験データなどを交えてご説明いただきました。これに対し、抗血小板薬が転移抑制の鍵になる可能性についても触れ、参加者の関心を集めました。
中瀨先生からは、長年取り組まれている乳がん研究を例に、がん細胞が転移先を選ぶメカニズムである「種と土壌」説について解説をいただきました。がん細胞(種)が特定の臓器(土壌)で増殖するのは、その臓器の環境が適しているからであり、がん細胞が血管の隙間を通り抜けて新たな場所へ定着していく複雑なステップを詳しくお話しいただきました。
質疑応答では、「タバコやホルモンバランスなどの性差が研究にどう影響するのか」「既存の薬を転移抑制に転用できるのか」といった専門的な質問から、日常の健康管理に関する話題まで、学部を超えた活発な意見交換が行われました。最後は、薬学の視点から「がん転移」という難題に挑み続ける決意が語られ、盛況のうちに幕を閉じました。


